映画「オーケストラ!(Le Concert)」

Concert1 昨年公開されたとき、とても評判が良くて、観に行きたかったのですが行けなかった映画です。やはり要望が多かったようで、現在、Bunkamuraで特別上映されています。評判通り、とても良い映画なのですが、14日(金)までの公開だそうですので、急遽、ご紹介することにしました。

かつてはモスクワのボリショイ交響楽団で首席指揮者を務めたアンドレイ・フィリポフ。ソビエト連邦の時代にユダヤ系演奏家の排斥を拒否して解任され、今はボリショイ劇場(Bolshoi Theatre)の清掃員として働いています。

そんな彼が支配人の部屋を掃除中、たまたま着信したパリのシャトレ座(Théâtre du Châtelet)からの出演依頼FAXを見て、偽のボリショイ楽団を仕立ててパリ公演を行おうと思いつきます。

突飛な思いつきのようですが、アンドレにはどうしてもパリで公演したい理由があり、それが映画のストーリーの軸になっています。チェリストのサーシャと一緒に昔の楽団員を集め回り、当時の支配人だったイワンに頼み込んで、シャトレ座と話をつけてもらいます。

Concert2

サーシャは、共産党の手先としてアンドレを解任したイワンと組むことに反対しますが、実はイワンにもパリに行きたい理由があって、これが一種の風刺になっているのが、この映画の面白いところです。

Concert4

素直に楽しめるコメディ映画ですが、物語の発端にはユダヤ系の排斥問題があり、またロマ(ツィガーン)が登場したり、ガス王が登場したり、ヨーロッパ社会が抱える問題が巧みに織り込まれているのも魅力のひとつです。

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とはいえ、この映画の最大の魅力は、何といってもラストのコンサートシーン。シャトレ座でチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏するのですが、これがとっても感動的なのです。

特にヴァイオリニスト:アンヌ=マリー・ジャケ役のメラニー・ロラン(Mélanie Laurent)の演技。演奏シーンですから何かを語るのではなく、表情だけで感情を伝えるのですが、これが素晴らしくて思わず感涙に咽いでしまいます。

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アンヌ=マリーを支えるギレーヌ役のミュウ=ミュウ(Miou-Miou)、地味な役ですがアンドレイの妻:イリーナを演じたアンナ・カメンコヴァ(Anna Kamenkova)も良かったと思います。ちなみにミュウ=ミュウはシャネルを着て登場しますが、衣装協力を見ると、メラニー・ロランの衣装はエルメスのようです。

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ということで、観ておいて損はない映画です。今回Bunkamura ル・シネマで夕方から2回のみの上映ですが、お正月特別価格の1000円均一、ネット予約しても同じ料金と非常にお得です。お時間に余裕がある方は、ぜひご覧になってみてください。

公式サイト
オーケストラ!Le Concert

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[仕入れ担当]