ひと昔まえは「無人島に1枚だけレコードを持っていくなら、どのアルバムを選ぶ?」といったいったことを訊き合ったりしました。今はiPodがありますし、実際、旅に出るときは好きなCDを手当たり次第iPhoneに詰め込んで持っていきますが、もしアルバム1枚分しか容量がないとしたら、私は迷わずPop Popを選びます。どんな荒んだ気持ちになっているときも、Rickie Lee Jonesの優しい声を聞くと、心のゆとりが戻ってくるような気がするのです。
そんなわけで、彼女の東京公演があると、ほぼ必ず出かけています。前回は娘さんを伴って六本木のビルボードライブ、その前もオーチャードホールや丸の内のコットンクラブなど、ゆったり座って聴く場所が多かったのですが、今回の東京公演は一夜限りクラブクアトロ。大阪公演はスタンディングが多いような気がしますが、私自身、東京で彼女のスタンディング・ライブに行くのは初めてです。
リッキー・リーのコンサートはいつもそうなのですが、年季の入ったファンが集まるので、ステージと客席の一体感が非常に濃密です。今回も1曲目のIt must be loveが始まるやいなや、会場いっぱいの「ロック中年」たちが盛り上がりまくり。といっても、お行儀の良いファンばかりなので、靴を踏まれたり飲み物をかけられたりする心配もなく、リズムをとったり声をかけたり穏やかな盛り上がりです。
今回は彼女とべースとドラムスの3人編成。ベースの人がギターを持ったり、ドラムスの人がピアノやアコーディオンを弾いたりと各々がマルチプレーヤーで、リッキー・リー自身も、最初はアコースティックギターを抱えて出てきましたが、エレクトリックギターを持ったと思ったらマラカスを持っていたり、ピアノを弾いていたりと八面六臂の演奏。最新アルバムBalm in Gileadからも何曲か演りましたが、昔の曲には大幅にアレンジを加えていて、かなり実験的な演奏を含め、彼女の音楽を聞き込んでいるファンには代え難い経験だったと思います。
いちばん最後に、お約束のChuck E’s In Loveを演奏。割れんばかりの拍手と共にステージから去った後、3人で戻ってきて挨拶し、アンコールなしかと思いきや、リッキー・リー1人だけ残ってピアノの弾き語りでOn Saturday Afternoons In 1963。鳴り止まない拍手の中で終演となりました。(ステージの写真は、こちらのサイトから借用)
思いがけず、2週連続で渋谷のスタンディングに行ってしまいましたが、やっぱりライブはいいものですね。もう少しマメにコンサート情報もチェックしてみようと思いました。
[仕入れ担当]