超豪華なキャスティングで話題の映画です。以前から楽しみにしていたので、封切り早々観てきました。
フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)の名作映画「8 1/2」をミュージカル化した「NINE」の映画版という、背景を書くとちょっとややこしい作品ですが、ストーリーはいたって単純。新作の脚本が書けなくて苦悩する映画監督が、プレス発表の場からリゾートに逃げ、私生活の困難からも逃げ、結局、新作映画も妻も失なった後に、新たな希望が見えてくるというお話です。
監督のロブ・マーシャル(Rob Marshall)には申し訳ありませんが、ストーリーや構成なんてどうでもよくて、純粋に出演者の歌と演技、イタリアの風光明媚な景色を堪能するための映画だと思います。特に映画監督グイド役のダニエル・デイ=ルイス(Daniel Day-Lewis)。私は「マイ・ビューティフル・ランドレット」以来のファンなのですが、今回も、イタリア訛りの英語といい、イタリア男のどうしようもない雰囲気といい、ホントに素晴らしい演技でした。
ダニエル・デイ=ルイスは、俳優を休業してフィレンツェで靴職人の修業をしていた関係で、イタリア語も話せるし、イタリアの生活にも馴染んでいるそう。グイド役は、当初、ハビエル・バルデム(Javier Bardem)が演じる予定で、こちらも好きな俳優さんなのですが、やっぱりダニエル・デイ=ルイスで良かったのかなと思いました。
それからセクシーな愛人役のペネロペ・クルス(Penélope Cruz)と、清楚な妻役のマリオン・コティヤール(Marion Cotillard)のコントラスト。この配役しかあり得ないというくらい絶妙なバランスです。ストーリーを支える軸となる衣装デザイナー役のジュディ・デンチ(Judi Dench)の味のある演技も、ほとんど演技はしませんが、母親役のソフィア・ローレン(Sophia Loren)の存在感も、いいものを見せてもらったという感じでした。
主題歌は娼婦役で登場するブラック・アイド・ピーズ(The Black Eyed Peas)のファーギー(Fergie)が歌っていて、これもなかなか良いのですが、Vogue誌の記者役で出ているケイト・ハドソン(Kate Hudson)の歌が意外にうまくてびっくり。そしてニコール・キッドマン(Nicole Kidman)。歌は「ムーラン・ルージュ」同様ですが、FENDIの毛皮をまとったときのハリウッド女優らしい佇まいは、さすがとしか言いようがありません。
ロケーションでいえば、グイドが逃避行する Anzio のスパ・リゾート。スイートルームはゴージャスだし、風景は最高だし、思わずイタリアに行きたくなります。それにアルファロメオで海岸線を疾走するシーンは、むちゃくちゃ気持ち良さそう。ということで、観るならDVDではなく大スクリーンで、という映画でした。
[仕入れ担当]