映画「ルドandクルシ(Rudo y Cursi)」

有楽町西武の催事も残り2日となりました。ブログやニュースサイトでご紹介いただいたおかげか、サイトをご覧になってお見えになるお客様が意外に多くて驚いています。どうもありがとうございいます!

1 さて、今回はメキシコ映画のお話です。先週末、公開されたばかりの「ルドandクルシ」を観てきました。「天国の口、終りの楽園。(Y tu mamá también)」の監督、アルフォンソ・キュアロン(Alfonso Cuarón)の弟で、脚本の共同執筆者でもあるカルロス・キュアロン(Carlos Cuarón)監督の長編第1作です。

「パンズ・ラビリンス(El laberinto del fauno)」のギジェルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro)、「アモーレス・ペロス(Amores perros)」「バベル(Babel)」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro González Iñárritu)、そしてアルフォンソ・キュアロンという、メキシコを代表する3人の監督が立ち上げた映画製作会社、Cha Cha Chá Producciones の記念すべき第1作目でもあります。

キャストも豪華で、兄のベト(Beto:通称=Rudo)役にディエゴ・ルナ(Diego Luna)、弟のタト(Tato:通称=Cursi)役にガエル・ガルシア・ベルナル(Gael García Bernal)。この「天国の口、終りの楽園。」コンビに、アルゼンチンのコメディ俳優、ギジェルモ・フランセジャ(Guillermo Francella)が絡んで物語が展開していきます。ギジェルモ・フランセジャは、今年のアカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされているアルゼンチン映画、「瞳の奥の秘密(El Secreto De Sus OJos)」で主演を務めている人。

ストーリーは、サッカーのキーパーに憧れているベトと、歌手になることを夢みているタトの兄弟が暮らす田舎町に、ギジェルモ・フランセジャ演じるスカウトマン、バトゥータ(Batuta)が現れるところから始まります。素人サッカーを見たバトゥータは、キーパーのベト、ストライカーのタトの才能を認め、2人のどちらかと契約したいと言います。ベトはPKで決着を付けようと提案。タトにこっそり「右に蹴れ」と命令しますが、タトは自分から見て右に蹴ってしまい、右に跳んだベトはゴールを決められてしまいます。
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契約を結んだタトは都会に出て、とんとん拍子でスター選手になります。わがままが言える立場になり、バトゥータに頼んでベトとも契約を結んで貰ったり、歌手デビューさせて貰ったりします。そして、都会に出てきたベトもまた実力派のキーパーになり、最後は無失点記録を賭けてタトとの勝負に臨むというお話。こう要約すると、ご都合主義の単純なコメディのようですが、さすがに「天国の口……」の脚本を書いた監督だけあって、会話の隅々まで丁寧に作り込まれていますので、誰もが楽しめる映画だと思います。
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また「天国の口……」と同様、一見、お気楽な映画の中に、ギャンブル、家庭内暴力、マルチ商法、麻薬成金、トトカルチョとイカサマ、都市と地方の格差といった社会問題が巧みに織り込まれているのも特徴です。この映画の英語タイトルは、Rudo y Cursi をそのまま直訳して Rough and Vulgar なのですが、粗野な兄と教養のない弟の田舎者2人が都会の荒波+現代社会に翻弄される映画ともいえます。

ディエゴ・ルナとガエル・ガルシア・ベルナルの演技もさることながら、彼らのはじけた演技を、物語の語り手として支えているギジェルモ・フランセジャの存在感が光っていました。「瞳の奥の秘密」は去年のスペイン映画祭で上映されていたのですが、残念ながら観そこねてしまったので、日本で公開されたらぜひ観に行きたいと思っています。
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それから、いかにも「他の分野の人気に乗じてデビューしました」的ヘタクソさで、チープトリックの I want you to want me をスペイン語で歌う、ガエル・ガルシア・ベルナルのPVも妙に印象に残りました。myspaceでサントラの宣伝をしていますし、いろいろな場所に動画が投稿されていますので、ご興味があれば"Quiero que me quieras"で検索してみてください。
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公式サイト
ルドandクルシRudo y Cursi

[仕入れ担当]